https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/271259
もし中学生の時に『はだしのゲン』に出逢わなかったら、今の私はないだろう。
小学生、中学生の時、誰もいない図書館で読んだ「はだしのゲン」「かんからさんしん」「火垂るの墓 」…。
学年が上がって、新しい教科書をもらう初日に真っ先に国語の教科書(後ろの方にある)戦争に関する物語を読んだ。
「戦争」「原爆」は、「死」について、「平和」について、「絆」について、そして「共同体」について考えるきっかけを私に与えた。
今からちょうど10年前、2013年の広島平和記念資料館の地下の大展示スペースは、「はだしのゲン」であった。その前年の小展示スペースから移動した。そこでは数々のゲンが周りを励まし、必死に生き抜く姿が展示されていた。
このニュースを見てゲンは、作者中沢啓治さんは何を思うだろう。
生活実態にそぐわないのか。描写が過激なのか。そうではなく、それはゲン、中沢さんの目の前に突如降りかかった生身の現実、日本の悲惨でおぞましい過去の瞬間瞬間なのではないか。
読者は当時の惨状を嫌でも「想像」しなければならない。
2012年に亡くなった中沢啓治さんの冥福をお祈りするとともに、より多くの人ができれば若いうちに『はだしのゲン』と出逢い、読まれ、そして読み継がれ、この世から核と戦争がなくなることを強く願う。
高野はやと@江東区