1.江東区版パートナーシップ制度について
(1)東京都パートナーシップ宣誓制度との違いについて
(2)事実婚等を含むパートナーシップ制度について
(3)「こどもまんなか江東区」が目指すパートナーシップ制度について
江東新時代の会の高野はやとです。大綱3点について質問いたします。区長並びに関係理事者の方々には、前向きなご答弁をよろしくお願いいたします。
大綱1点目は、江東区版パートナーシップ制度について
東京都パートナーシップ宣誓制度が、昨年11月1日より開始されました。本区内でも喜ぶ声や、内容に関する質問などを伺いました。都の宣誓制度は、開始10か月の今年8月末時点で、すでに882組ものカップルが利用しております。以前、本区において同性愛的思考は本人の内心の問題であり、表に出すことではないと考える性的マイノリティーが多数派なのではないか、と感じたとの発言がありましたが、決してそうではないということが徐々にわかって参りました。来年4月開始予定の江東区版パートナーシップ制度について3点伺います。
はじめに、東京都の制度との違いについて伺います。
パートナーシップ制度というのは、「戸籍上の性別に関係なく、お互いを人生のパートナーとして尊重し、継続して協力し合う2人がパートナーシップ関係にあることを自治体が認める」というのが定義ですが、制度の内容は自治体によって多種多様です。そこで、すでに開始されている都の制度との違いについて、申請方法、証明書発行後のサービス利用など、区の制度が条例なのか要綱なのかも含め、現在の検討状況を伺います。
次に、異性のカップルへのパートナーシップ制度の適用について、提案も含め伺います。
現在の婚姻制度では、法律婚により夫婦のどちらかの名字に統一しなければなりません。2015年の厚生労働省の統計では、実に96%の夫婦が夫の名字に変えております。女性の社会進出が進み、現在では、企業で働く方から、医者、弁護士、論文を発表する研究者、グローバルに活躍される方など、自分の名字を使い活動されている方が多くおります。アイデンティティの問題もあり、事実婚を選択する夫婦が増えてきております。こうした現在の婚姻制度によって、事実婚を選ばざるをえない異性同士のカップル、特に、生きづらさを感じる女性に寄り添うという意味でも、パートナーシップ制度を適用していくべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
元々は、性的マイノリティーの方々が抱える問題からはじまったパートナーシップ制度ですが、例えば、配偶者に先立たれたり、独身であったり、そうした理由で一人暮らしの高齢者同士が、こどももいるし孫もいるし、今更、籍は入れたくないが、パートナーとして認めてもらうことにより仲良く暮らしたい。そう思う方もいると考えます。
加えて、同性だけでなく、異性も利用可能にすることにより、同性カップルが申請しやすくなるという効果もあります。自分が住む自治体に申請することは、カミングアウトすることになるのではないかと不安に思う方も、利用しやすくなりますし、なにより、性別に関係なく、現行の婚姻制度に対し、生きづらさを抱えるすべての人に寄り添う姿勢を江東区が示すことにより、「これはLGBTQだけの問題ではない。私たち全員の問題なのだ」と感じていただきたい。「多様性ある社会」とか「多様化する社会」といいますが、私たちが生まれるもっと前から既に社会は多様であります。今までは誰かの我慢や犠牲の上に成り立っていた社会を、江東区から変えていくんだ、そうした意思表示になると考えます。
次に、「こどもまんなか江東区」のパートナーシップ制度、ファミリーシップ制度について伺います。
同性のカップルでも子どもを育てている方もおりますし、事実婚を選択せざるを得なかった夫婦にも子どもがいる家庭もあります。事実婚では、共同親権を持てないため、片親しか親権がなく、親が病気になったり、万が一亡くなってしまった場合にどうするべきかと不安に思う家庭もあります。医療機関にかかった際の家族としての対応や、公営住宅への入居、民間の家族割サービスなどを、今まで婚姻関係なしではできなかった手続きをパートナーと、そのこどもも含めて、幅広く認めていく。こどもをまんなかにした制度設計をしていくことが大事だと考えます。また、これから多様な社会へ対応していく中で、血縁関係はないが、家族の絆で結ばれた人たちを家族として認めるべきと考えますが、区の見解をお伺いいたします。
加えて、同性異性問わず、現行の婚姻制度をなんらかの理由で利用できない、すべての人と、そのお子様も家族として認められる制度が、もし実現した場合は、東京都の自治体において、江東区の制度は、何番目の実現となりますでしょうか。あわせてお伺いいたします。
新宿区ではパートナーシップが否決されましたが、制度実現には区長のリーダーシップが非常に重要になると考えます。過去にLGBTQを差別する発言があった江東区。江東区は変わったな、多様性を認めてくれるし、江東区にいけば自分の生き方や価値観を否定されたり差別されたりされない、どころか後押ししてくれる。そして私たちのこどもたちも大事にしてくれる。住みたい、住み続けたい、そんな江東区の新時代を描き出すようなパートナーシップ制度になることを要望し、次の質問にうつります。
木村弥生江東区長回答
高野はやと議員のご質問にお答えします。
初めに、江東区版パートナーシップ制度についてであります。
現在、性別等による差別のない、多様性が尊重される社会の推進を念頭に、パートナーシップ制度の導入について江東区男女共同参画審議会で、審議・検討を進めております。
ご質問のうち、まず、東京都パートナーシップ宣誓制度との違いについてです。
申請方法については、都は、オンライン申請を基本としておりますが、本区では、対象となるパートナーのお二人に申請場所で自書による宣誓書の提出を予定しております。
また、証明書発行後のサービス利用等の効果については、都の制度と同様、法的効力は発生しませんが、行政サービスの利用のほか、病院、住居の賃貸契約等において利便性の向上を目指しております。
なお、制度導入時に本区の証明書等を都の事業等において活用できるよう、都と協定について協議してまいります。
また、制度の根拠規定については、本区の条例を根拠規定にする制度設計を進めております。
次に、事実婚等を含むパートナーシップ制度についてです。
異性同士のカップルに対するパートナーシップ制度の適用についてですが、都の制度では、「双方又はいずれか一方が性的マイノリティである二人」としており、同性に限りませんが、事実婚までは対象としておりません。
本区の制度は、「同性パートナーに限定しない制度であり、性別等にかかわらず、LGBT等のパートナーの二人や現行法下では婚姻していない事実婚のパートナーの二人」を対象として支援する制度を検討しております。
なお、審議会においても、対象者を拡大したことで、LGBT等の方にとっても、周りの目を意識することの負担が軽減され、申請し易くなるとのご意見もいただいております。
次に、「こどもまんなか江東区」が目指すパートナーシップ制度についてです。
「こどもをまんなか」にした制度設計についてですが、都では、都が発行する受理証明書の備考欄に子の氏名を記載できますが、ファミリーシップを制度化したものではありません。
本区では、子や親を含め、家族として証明するファミリーシップ宣誓制度を提案しております。
これは、単に子の氏名を記載するだけでなく、パートナーのお二人とその子を家族として宣誓したことを区が証明する制度であります。
また、今回の制度は、婚姻に類似した関係にあるパートナーの二人の方を中心に、暮しやすい環境づくりを目指すための制度であり、血縁関係はないが、家族の絆で結ばれた人たちを家族として認めることについては、区民の皆様のご意見を伺いながら、課題や問題点を整理してまいりたいと考えております。
なお、現在審議会で検討されている事実婚まで対象としたファミリーシップ制度が実現した場合は、東京都で初めての制度となり、区民の皆様にご理解いただける制度を構築してまいりたいと考えております。