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沖縄 うりずんの雨/THE AFTERBURN

多くの論点があるドキュメンタリーではあるが、米軍統治下で沖縄の人が感じたことを語る部分が最も印象に残った。銃剣とブルドーザーで土地は取られ、反対すると捕まる、女性は暴行される。日本でもアメリカでもない沖縄。「この屈辱的な支配から逃れるには、日本に行くしかないと思った。日本には、憲法があって、戦争をしない、軍隊もない。基本的人権も保障されている。経済的な発展も遂げて、東京ではオリンピックが開催されている」

さまざまな沖縄に関するドキュメンタリー映画を単館映画館で観てきたが、今観てよかったと思える作品。日本とアメリカ側のインタビューを交互に見せる。返還前の沖縄は、アメリカでは公民権運動があった時代であることは忘れてはならない視点。白人と黒人、日本と沖縄の対立も暗に示唆。

一昨年、大学時代の恩師である高野孟先生とお話した時に、当時、沖縄返還に共産党内で自分だけ反対したと話していたのだが、理由がイマイチ理解できないまま、田原総一朗先生がすぐに話し出して終わってしまったのがずっと気になっていた。

沖縄が返還されることによって、沖縄は米国との直接交渉権を失い、日本全体の論理で動く以上は基地は永遠になくならないということを話していたのか。核抜き本土並みが嘘であることは沖縄復帰直後に暴かれている。

ちなみに、第一章の沖縄戦で使用されている写真は、水俣病の真実を暴いたカメラマンであるユージンスミス撮影のもの。

日本語版『沖縄 うりずんの雨』は配信されていないため、米国版で視聴したが、アメリカ側の視点で沖縄を見ることも大事。経済的な徴兵についても考えるきっかけになる。おすすめです。