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すべての人に、居場所と出番を。すべての挑戦者に、戻る場所と再挑戦の機会を。

武蔵野市長選で惜敗した笹岡ゆうこさんと政治政策イベントのパネリストとしてご一緒する機会があった。さまざまなご苦労があったかと思うが、明るくしっかりと想いをお話されていて素晴らしいと感じた。江東区長選に退路を断って出馬し惜敗した酒井なつみさんもそうだが、こうした方々へのサポートと再挑戦できる環境を整備していきたいと強く思うし、強く願う。

今回は、起業家の世界的ネットワークであるEOの会員である起業家が主催するイベント。全員が創業社長とのこと。独立資本で運営している中小企業から上場直前のベンチャーまで多種多様な方がいらっしゃった。ちなみに全員男性であった。私も都議選前までは10年以上多くの起業家、経営者の友人、先輩たちとばかり交流していたが最近めっきりなくなった。交流がなくなった理由、産業構造の転換に伴う新興産業への投資と成長戦略などの話は、また改めてしっかり書きたい。民主党は支持していたのに、立憲民主党を支持していない多くの方々に向けたメッセージとなる。

今回のイベントでは、政治家のキャリアについて話す機会が多くあった。これは大きなテーマである。選挙に立候補する時と、起業する時は、 家族に反対されるところが似ていると言われる。この2つは、会社員や公務員と相性が悪い。今ある身分を捨てて挑戦しなければならない色彩が強い。昔であれば、貴族や地主が政治家になったし、今でもその身分を捨てて挑戦できるのは、加治隆介のような2世3世議員に限られる。起業家を起業家たらしめるものは、政治家でいう「地盤、看板、カバン」がないゼロの状態でのリスクある挑戦であるから、パネリストである議員も、参加者である経営者も「キャリアとリスクコントロール」の部分はお互いが共感し、歩み寄ることができる。

政治家には、弁護士や税理士をはじめとした士業や手に職系の資格取得者、事業を営んでいる経営者が多いことに気づく。これは、能力の問題もあるが、やはりリスクコントロールの部分が大きい。つまり、選挙に落ちてもダメージを最小限にできるということだ。こう考えると、特に中選挙区から小選挙区における選挙への挑戦というのは、非常にハードルが高く有望な人材を集めるためには、ある程度のセーフティネットが必要になる。さらにいうと、女性の場合は、士業や経営者などの割合は非常に低いので、よりリスクが上がる。

今回のイベントでは、経営者側から政治家へのロビイングのようなものはなく、「経営者が政治のためにできることは何か」という設問があった。それは「社員が選挙に挑戦し、仮に失敗しても同じ条件で再雇用される制度」の創設。「選挙休暇」である。一部大企業などで制度があるが、この制度を設けることは立派なCSRである。「選挙休暇」がある企業へのインセンティブがあってもよい。特に現代はまだ、女性の方がリスクコントロールできる割合が少ないため、女性の政治参加を促すことにもつながる。

これは発信するかどうか迷ったが、さらなる要望は、「選挙への挑戦」の意味の拡大である。挑戦し当選し議員になった後も、リスクが非常に高く、昨今では、選挙前の軽犯罪歴や居住条件違反、無免許運転などで辞職している議員、特に女性議員のあまりにも大々的なニュースが目立つ。確かに自業自得だとお叱りを受ける面がある一方、彼らにも生活がある。そうした方々ができることなら再雇用され、または新たな職につき、意思があるなら再挑戦することもできる。そこまで包摂できるのが望ましいと考える。今もなお、女性の再就職が難しいという事情も考慮したい。

「すべての人に居場所と出番のある社会」を実現するために、「挑戦したすべての人に戻る場所と再挑戦の機会」を。