『おみおくりの作法』から考える孤独死や孤独孤立の問題

最後の5分でとめどなく涙が流れる。孤独死した市民を見送る仕事をたった1人でこなす民生係の職員のお話。自身も身寄りがおらず孤独だが、解雇される最後の最後の日まで孤独死した人々に尽くし寄り添う。原題が「STILL LIFE」である意味は、最後の5分間で明らかになる。

欧米で孤独死や「シングルトン」が話題になったのが10年ちょっと前。この映画は2013年。当時海外に住んでいてはじめて知った。孤独孤立の問題は先進国で広がり、今では日本でも喫緊の課題となっている。

孤独孤立の問題に対し解決策を得られるわけでないが、公的セクターで働いている人から英国好きの人までぜひ観ていただきたい。最後の5分まで、物語は淡々と進むがすべてが伏線であると考えながら観る。

黒澤明監督のリメイクとなった『生きる‐living』と少し近いものを感じる。ちなみにこの映画も『アイアムまきもと』として阿部サダヲさん主演でリメイクされている。