【演説要約全文】蓮舫、渾身の演説‐少子化対策と子育て支援の違いから見えた本当に必要な政策【東京都知事選挙】

石神井に皆さんに会いにきました。そしたら、こんなにたくさんの方が私に会いにきてくれた。まず御礼から申し上げなければいけません。東京都知事候補の蓮舫です。ありがとうございます。ワクワクしながらここに来ましたが、ちょっとへこむことがありました。私でもへこむことがあるんです。さきほどある特集記事が配信されました。そのタイトルが「2024年都知事選挙。男を踏みつけた蓮舫。男を利用した小池百合子。仁義なき女の戦い」。ちょっと待ってくださいよ。男性同士の戦いだったら、こんなタイトルになりますか。女を踏みつけた男性候補、女を利用した男性候補。仁義なき男の戦い。もうこういうジェンダーバイアス、偏見はやめませんか。男でも、女でも、どんな立場の人でも、平等に扱うそういう東京を創りたいと改めて思っています。

今回私はチャンレンジャーです。8年間の小池都政。それをぜひ問わせて頂きたい。そして私が皆さんに提案している政策をぜひ支援していただいて、都知事になって、その政策を実現していきたい。そういう戦いだと思っています。

<少子化対策と子育て支援はイコールではない>
とうとう円が160円になりました。これからまた物価が上がります。暮らしが厳しくなります。経済政策ももちろん大事です。一方で都民の皆さんは、少子化対策にも大変関心が高い。現職の知事は、この選挙に近づくにつれて、どんどんいろんな支援メニューを少子化対策として打ち出している。ありがたいことばかりです。高校無償化、あるいは給食費無償化、これは多摩にはまだ格差があるから解消する必要があると思っている。高校生まで医療費の補助が出る。とっても良いことです。行政は継続性です。良い政策はすべて引き受けます。でも、現職が少子化対策を五月雨式にいっぱい実施してくれて、いろんなメニューを用意してくれているのに、なぜ東京の出生率は0.99まで落ちたのでしょうか。

私は、現職が今までやってきた政策は、子育て支援にはなっている。家計への経済支援にはなっている。でもその支援メニューが少子化対策に結びついていないのではないかと考えてるんです。

小池さんは、自由民主党にいた時の発想のままだなと思うことがあります。国政でも都政でも、出生率が下がるとどんな政策をやるか。結婚をしてもらうための政策を取るんです。そうしたら、子どもが生まれるという考えから、残念ながら抜け出せていない。国でいうと、地方公共団体に地方創生だといって、合コンイベントをやる、婚活パーティーをやると皆さんの税金から補助金が渡されるんです。東京都は小池さん、今年度の予算案でこの補助金を活用して何をやるか、婚活アプリです。必要ですか。あるいは婚活イベントで出会いを増やす。果ては、結婚した時の思い出の歌を募って、漫画にして広く普及させるそうです。これは税金でやることではないと私は思っています。

では何が足りないのか?私は徹底した若者支援がいるのではないかと思っています。これまで国も都も子育て支援はいろんなメニューをやってきた。最近岸田総理も気づいて、いろいろやり始めている。現役世代は結婚して子どもがいれば、税額控除を受けられます。シニアの世代は介護保険がある。医療保険の自己負担が軽減される。でも、若者はどうですか。ずいぶん長いこと、自助で、自分でがんばれ。高校や高専を出て、社会に出るとき、あるいは大学に進学をする。そして社会に出る時は、自分でがんばれ、親が面倒をみろ、家庭で支援しろ。行政の支援からこぼれ落ちていた。これが機能していた時はよかった。でも、小泉構造改革から20年。この間、不安定雇用は60万人増えました。

私は結婚をさせる政策が効かないのは、多様性もあると思っている。1人で生きるという選択、結婚するという選択。1人で子どもを育てるという選択。男女カップルだけれども、選択的夫婦別姓が実現するまで籍を入れないという決断。あるいは同性パートナーと暮らすという判断。いろんな生き方を平等に応援をしていく多様性こそが、東京都の豊かさだと私は尊重していきます。

その上で、結婚ができない環境に置かれている人たちを私は徹底的に支援をしていきたいと考えています。自分で、非正規でフリーランスで点々としていろいろな職場で仕事ができる。そうした判断をした人は応援する。でも、そうじゃないんだ。不安定雇用から抜け出せない。非正規の道から抜け出せない。3年後の自分の姿が描けない。給料がいつまで経っても上がらない。この人と一緒にと思う人はいるけど、とてもじゃないけど結婚できない。とてもじゃないけど子どもを産んで育てられない。親として、この子どもの背中を見ることがどれだけ辛いことか。

親の経済環境が、子どもの生活環境へと連鎖をしているんだったら、ここを支えることこそが国に先んじて東京都がはじめていくべきだと皆さんにお約束をさせていただきます。

<公契約条例で若者の雇用環境改善>
じゃあ何をしましょうか。東京都の予算は一般会計で8.5兆円あります。私は国会議員として20年間、国家予算120兆円を徹底的にチェックしてきました。8.5兆円を検証するのは簡単ですよ。ここは任せていただきたい。この8.5兆円のうち、補助金が1.6兆円。残る部分で東京都は公契約で皆さんに提供する行政サービスの契約を発注する。民間企業が契約を受注する。これが公契約です。この公契約に、私は要件を付けたい。「東京都の仕事を受注したいと思う企業は、その企業で働く人の雇用環境、給料、待遇を改善することが条件です」と決めるのはどうでしょうか。入札をする時にそうした企業の評価指標となる点数を高めてあげるのはどうでしょうか。

そうすると都の職員はこう言うんです。大企業優遇となります。大企業はそうした待遇改善をしてるから、中小企業には反映しないのではないか。とんでもない。大企業が東京都の受注して、下請けに再委託するのであれば、その委託企業は適正な価格で中抜きがないように、発注するようにと要件をつくるだけじゃないでしょうか。そうすれば大企業も、下請けも、孫請けも、公契約を通じて、皆さんの税金を通じて若い人たちの手取りが賃金が上がる、そういう結果を生み出すと私は確信をしています。

そのために皆さんの税金を使わせてください。そして、もうすでに人不足だから、うちは零細だけど中小だけど、働いてくれる若い人の給与を上げてる、休みも保障してる、そういう企業にはビジネスチャンスになる。これから手当をするよりも、今もう手をつけているところにどんどん仕事を回す。それが景気の好循環になると、私は考えています。

このことによって東京都の行政サービスという財産で、働く人の待遇を改善する。本当の意味での「官から民へ」ですよ。

<奨学金の返済支援>
それともう1つ、その平均額が310万円です。その奨学金は有利子。その場合、負担は徐々に重く雇用の不安を取り除いたら、今度は若者の負担を、私はどうしても取り除きたい。大学を出るとき、2人に1人が奨学金という借金を抱えます。なる。40代後半の人と会った時、ようやく今年奨学金を返済できる。こんな声も珍しくないんです。若い人たちが学びたい。その技術で、その知識で社会に出たい。でも非正規でそこから抜け出せるすべがなくて、奨学金という借金を抱えてるんだったら、この負担を都が支援するのはいかがでしょうか。

でも皆さんの税金だから、誰でもやみくもに返済支援するというわけではなくて、子どもたちの育ちを支える保育、子どもたちの学びを支える教育、皆さんの命を支える医療、シニアの安心を支える介護、この公的分野で働いている若い人たち、これから働いてくれる若い人たちに限定をして、ここの奨学金の返済を支援すれば、若者の負担の減り、皆さんの公共サービスがぶ厚くなる。両方が良くなる政策だと私は考えています。

<少子化対策には長期的に負担を不安を取り除くシステムの構築が必要>
そのために皆さんの税金を託してください。使わせてください。今私が訴えている若者政策。不安定雇用から抜け出すために、奨学金という負担を軽減する。これは即効性はありません。来年すぐに結果がでるわけではありません。でも、今この制度をつくり上げて、この制度を運用していけば、今生まれる赤ちゃんの20年後、今育っている子どもの10年後、確実に社会へ旅立つ時が来るときに、東京都では雇用の不安、奨学金返済の負担が必ず軽減できるシステムができあがってることこそが、結婚したいという人たちの安心に必ずつながる、中長期の少子化対策だと私は今回お約束をさせて頂きたいと思っております。

長い時間をかけて少子化になりました。ちゃんと丁寧に時間をかけて、派手さはないけれども、地味かもしれないけれども、確実に救われる若い子が生まれる街、確実に若い子たちが羽ばたける街、それが蓮舫の考える新しい東京都政です。

ぜひ実現をさせていただきたいと思っております。

それともう1つはお金の使い方ですよね。東京都の財政、一般会計8.5兆円、特別会計入れると約16.6兆円。これが何に使われているかというのは、残念ながら報道されないんです。国政は報道されるでしょ。でも、都政のことは報道されない。自分から調べないとわからない。そうするとどのようなことが行われるようになるのか。格差のある予算付けが当たり前に生まれる。

昨日は伊豆大島、大島町に行ってきました。島民の人たちと話をしてきた。もしかしたら島からこちらに引っ越して暮らしている人もいるかもしれない。火山島の住む人たちのリスク。最近の温暖化、台風による本当に命を失われるリスク。いろいろなことを聴いてきました。大島町には医療センターがあるけれども、ない診療科があると高速船で片道1時間40分。お金をかけて東京にやってきて病院に行って、泊まることもあって、翌日診療受けて、また船代を支払って帰ってゆく。同じ保険料を払っているのに負担が多いとの声も耳にしました。この島の予算、いくらなのかと調べてみたら、大島町は1年間の島の90億円です。11ある島の予算、全部合わせて400億円です。それでなんとかやってくれ。東京都庁のプロジェクションマッピング2年間の予算が48億円です。大島町の予算の半分の歳出がそれで消化されている。このバランスはどうなんだろうと改めて思いました。

あるいは、報道にありましたが、東京都の水道局にも話を聞きました。水道代が払えない。水道代を払わない。そして水道代が止められる。これを自己責任として解決することも、一言で切ることもできます。本当に払ってなくて、止められるのは自己責任でしょう。でもこの不安定な生活、物価が上がって、生活できなくて本当に払えない人たちに、東京都は外部委託をして、検針の人が行って話をして、払ってくれと説得をする。それが行政改革だと言って、郵便ポストへの投函による催促に代えたそうです。ポストに入っている。ある日突然止まる。都の担当者は「一度止まると皆さんすぐ払ってくれる」というような説明をする。本当なのだろうか。命の水を選択して、食費を削ったんじゃないですか。命の水を選択して、何かをあきらめたんじゃないですか。このことによって、7億円浮いたことが行政改革というのです。7億円ですよ。これが行革じゃない。7億円あり、そこに人を派遣しているのなら、隣の福祉局と一緒になって、検針の時に付いていって、その方に福祉の相談案内をして、困っているのなら救える道をその方にお示ししてあげることこそが、本当の意味でのお金の使い方ではないでしょうか。

もうお金を削って行政改革だというのはやめましょう。

行政改革というのは手段なんです。そこで足りないものがあったら予算をさらに増やす。そこに間違えがあるのであれば予算を削る。その先に、経済効果、政策効果、波及効果を見ていくのが、蓮舫のやりたい行革。本物の行財政改革です。

驚いたことに東京都の水道局が委託している株式会社。そこは株の8割を東京都が持っている。常勤2人は東京都の水道局の天下り。そこのトップはかつて都民ファーストのトップを務めた現職の知事の側近です。まだこんなことをやってるのだろうか。まだこんなもたれないというのをやっているんだろうか。

行革のし甲斐があると皆さん思いませんか。ここは任せてくださいよ。私の最も得意なところです。

私は行革をしながら種を蒔きたい。

若い人たちが何かをあきらめなくて済む東京都を創りたい。

小池さんは、光に光を当てるのは得意です。さらに説明に横文字にやってる感を出すのも得意です。

でも私は光と影があるのであれば、格差の影に光を当てて、影が消えていって、その人たちが1人で立って歩けるようになるまで、光を当てる。そういう都知事になりたいと思っております。

私の挑戦を支えてくれませんか。この選挙戦、戦えば戦うほど勝ちたい。もっとやれる。もっともっとやれることがある。

都知事になってもっと東京をよくする。ぜひあなたと次の東京へ。景色を一緒に見たいと思います。

どうかお支えください。ありがとうございました。
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石神井公園駅前で枝野幸男前代表との街頭演説。気候もよく、聴衆もよく、なにより音響設備を代えたことにより圧倒的に音質が良くなったこともあり、過去最長の20分間の熱く魂のこもった演説となった。これが蓮舫が一体訴えたいことなのだと文字を通して伝わった。想いが詰まった演説。小池さんとの違いを鮮明に。ぜひこの演説を東京都中に広げていただきたいと思います。