差別のない社会と真の愛国心

江東区の人口は約54万人ですが、そのうち4万人近くが外国籍の方々です。出身国も129か国とさまざまです。特に中国やインド系の方は都内でも江東区、特に大島、砂町、亀戸に多く住んでいらっしゃいます。昨年、多文化共生課を新設し、また日本語がわからない方は情報弱者となり、特に災害時には逃げ遅れる可能性があるため、さまざまな対策を行っております。

昨今、一部の外国人のニュースをその人種すべてのようにひとくくりにし誹謗中傷している人や団体がおります。海外に住み自身が外国人というマイノリティとして、暮らした経験がある人ならすぐわかります。ありえません。アジア通貨危機の時に、華僑と中国人、韓国人、日本人もひとくくりにして危険にさらされたインドネシアの話を思い出します。

私が目指す江東区の未来は、「自分の望む生き方やライフスタイルを決して差別されたり区別されたりしないどころか、むしろ後押ししてくれる社会」です。人種、性別、見た目、趣向から経済状況などさまざまな理由で生きづらさを感じる人がひとりもいない社会です。それは、慈悲、救貧の精神だけでなく、自分もいずれそうなるかもしれないという反転可能性によって、そして多様性ある社会の方が、人口も増え、子育てもしやすく、企業活動も活発化し経済も成長するという経済合理性から発想しています。

もう1つが愛国心。愛国心も同じです。何度も申し上げておりますが、小さい頃から、日本国旗を見つめ、時に敬礼し、教育勅語を暗唱させ、先の大戦を美化し、靖国神社に毎月参拝し、その前で写真を撮ってSNSにアップしても真の愛国心が芽生える可能性は「永遠にゼロ」です。何度繰り返してもゼロです。偏狭心から排他的ナショナリズムに結びつく可能性すらあります。大事なのは、外から日本を見ることだと思います。これほど素晴らしい国はないと心の底から自然と芽生える体験が重要です。

自らが外国に行ってそこに住んでみる。さまざまな違いに気づくはずです。人も言葉も文化もサービスも宗教もなんでも。食べものも、雪も、青い海も、生い茂げる山々も、四季があることも、島国であることも。外から日本を見てください。これほど素晴らしい国はないと気づきます。その時芽生えた気持ちこそ、真の愛国心だと考えます。思い込みの愛国心ではなく、心の底から芽生える愛国心。「寛容」もそこから生まれます。

高野はやと@江東区